乾いた空
第2章 二章
この人は自分が死んで行くのを、もう理解しているのであろう。
何も映さない瞳が全てを語っていた。
そんな人と僕の瞳は全く同じに見えた。
乾いた瞳で僕をじっと見てはマスクをやっとの思いで震える自分の手で外して出てきた言葉は
「後継者は決まった、もう、君の好きなようにしなさい。」
後継者になる気など端から無かったが、"好きにしなさい"と言う意外な言葉と、
今更、何を好きにするのか、何を好きにして良いのか分からなくなっていた。
ペースメーターの音は激しくなり、彼は苦しそうだった。
そんな苦しそうな彼を見ていると僕は………
僕は………
今までの自分を殺せるような気がしては、ペースメーターの音が乱れることに心地良さを感じていた。
窓から見える人口的な景色が狭苦しく、逃げるように見た青空は真っ青で乾いた空に見えた。