乾いた空
第4章 四章
車に乗り、外の景色を見ると暗闇のなかのガードレールがこれからの人生を導くように白く浮き立っては永遠に線を引いているように見えた。
ふと横を見ると彼の顔が少し明るい表情に見えたと思うと、ラジオを付け始めた。
タイミング良く音楽が流れ初め、まるで私達の現状を現すかのようにベートーベンの"月光"が流れていた。
私が幼い頃によく弾いていた曲だった。
外に出れない私は月光を弾いては窓から月を眺めるのが好きで癖になっていた。
当時の友達は窓から見る月とピアノだった。
癖になっていたせいか、思わず月を目で追っていた。
満月では無かったが、山の澄み渡った空気のなかにある月はハッキリとしていては、仄かに光輝き美しく見えた。