乾いた空
第4章 四章
「月って、私達がいくら動いてもついてくるよね。いつもは止まって見えるけど、今は走っても、走ってもついてくる。」
何だかこの時が楽しく感じてしまい、当たり前のことを不思議なことのように言ってしまった。
「そうだね。」
彼も何だか心なしか楽しそうに感じたので質問してみた。
「お兄さんは月と太陽どっちが好き?」
「……」
「どっちも好きじゃない?でも太陽ってイメージじゃ無いよね。」
「そうかもね。
君は?」
「私はさっき見た太陽が好きだな。」
何も言わない彼は一体何が好きなんだろうか。
太陽でもなきゃ、月でもない。
せめて星だといいけど………
やはり人殺しは光を好んではいけないんだろう。
私は先程見た太陽を忘れないように決めた。