乾いた空
第4章 四章
月が雲で隠れてしまったときに不意に正面を見ると鹿と思われる茶色い大きな生き物が視界に入り込んで来た。
彼もすぐにそれに気が付いていたので、お互い
『危ないっ!』
ずっとスピードをかけていたせいか、急ブレーキをかけた勢いでガードレールを破り、下の森に落下してしまった。
車が落ち行く瞬間、今までの事が走馬灯のように頭の中に駆け巡った。
かすかな記憶のなかにあるママのこと、私に優しさをくれた祖母のこと、今まで逃げ続けてきた学校のこと、素直に見れなかった施設の人達の笑顔………
そして
ユウキ………
私の視界は一気に真っ暗になった。