
乾いた空
第6章 五章ー2
せめて苦しまずにいてくれたことに少しホッとしたのと同時に
ポタ……
ポタポタ……
気が付いたら、私の目からは大量の涙が出ていた。
私を別の世界へ連れて行ってくれようとした彼は……
私のことを娘だと思い込んだままの彼は……
何も語らない、冷たく真っ青な姿になってしまった。
"ありがとう"の一言も言えずに更にお互いに名前すら知らないまま、彼をなんて呼んで良いか分からないまま、泣き崩れるしかなかった。
ユウキ……
私はどうしたらいいの?
そこは空を見たくても暗く冷たいコンクリートに囲まれていた。
