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月夜の下で…

第1章 ~ 初恋 ~

 
 
 
「…あっ…!はぁっ……」 
 
 
放課後の理科室。
 
教壇の上で重なり合う二つの人影があった。
 
長めで癖のある黒髪をした華奢な体の少年が、制服を乱され相手の攻めに声を漏らしていた。
 
 
 
 
 
 
 
「よかったぜ、みちる」 
「はい…」
 
 
 
行為を終えた相手は、満足げにそう言うとさっさと理科室を出て行った。 
残されたみちるは、どこか寂しそうに乱れた制服を直し始めた。
 
 
その後、学校を後にして独り家路を歩いた。
 
 
 
 
30分程歩くと、ひまわりという施設に辿り着きそこで足を止めた。
 
三階建てで、大きくて綺麗な建物にピンク色の屋根が特徴的だ。
 
 
その一階の一室に入るなり、みちるは窓際にあるベッドに倒れ込んだ。
 
部屋は5畳ないくらいで、勉強机とベッドだけでいっぱいいっぱいだが、きちんと整頓されていてキレイだ。
 
 
 
「ハァ~……」
 
 明日から春休みかぁ… 
 
 
憂うつそうに溜め息を漏らし、呆然と天井を見つめた。
 
その時、携帯が鳴って徐にズボンから取り出してメールを確認した。
 
 
 “今から家に来い”
 
 
メールの内容はこれだけだった。
 
無言で携帯を閉じ、ベッドから起き上がるなり部屋を後にした。
 
 
 
 
 

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