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月夜の下で…

第3章 ~ 愛しい人 ~

 
 
 
「っていうか
 なんであいつの見舞い なんて行かないといけ ないんだよっ」
 
 
 
放課後…
 
教えられた病院へ向かうみちると楼の姿があった。
 
 
 
「だって‥心配で…
 それに…ぼくのせいで こんなことに…」
 
 
 
俯きながら話していると、突然グイッと肩を抱き寄せられ‥不意に顔を上げると―――
 
 
 
「みちるのせいじゃない あまり思いつめるなよ 」
 
 
 
頼もしい横顔に、思わずドキドキしてしまった… 
 
 
 
 
教えてもらった病院に辿り着き、不安を胸に病室のドアを開けると――― 
頭に包帯を巻いた森崎先輩が、ベッドに座っている姿があった。
 
目が合い‥気まずそうに無言の2人に、楼が口を開いた――――
 
 
 
「フラれたくらいで飛び 降りなんてな!
 オレを殺そうとするく らい図太いくせに‥‥ 」
 
「ろっ楼っ!」
 
「いいんだよ‥本当のこ とだから‥‥」
 
 
 
無理やり微笑む森崎先輩…
その姿に、胸が締めつけられ涙が溢れてきた。
 
 
 
「ごめんなさいっ
 …森崎先輩の気持ちに 応えられなくて…ごめ んなさい」
 
「もう‥いいんだ…」
 
 
 
いつの間にか目の前まで近づいていた森崎先輩に、優しく頭を撫でられた。
 
 
 
「…月野と‥幸せにね… お見舞い‥ありがとう 」
 
「森崎先輩…」
 
 
 
 
 
 
 
その帰り…
 
楼と手を繋いで、夕暮れの道を歩いていた。
 
 
 
「なんか
 キモチ悪いくらいあっ さりしてたな
 飛び降りてふっ切れた のか?」
 
「う~ん…
 でも…ケガたいしたこ となくて安心した」
 
「ほんっと
 みちるって優しいよな 色々ひどい目にあった のに‥‥」
 
「そう‥だけど‥‥」
 
「まあ…
 おれのこと誰にも言わ ないみたいだし…
 みちるのことも諦めた からいーけど」
 
 
 
ギュッと‥みちるは、繋いでいた手に力を込めた‥‥
 
 
 
「ねぇ楼…その‥‥
 門限までまだ時間ある から‥‥
 …一緒に‥いたいな… 」
 
「デートする?
 それとも‥‥オレん家 …?」
 
 
 
恥ずかしさでモジモジしていると、楼の整った顔が近づき‥物欲しげに見つめられた‥‥
 
 
 
 
 

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