月夜の下で…
第5章 ~ 略奪愛 ~
「ぐっ‥‥」
「楼っ!!!」
腕を抑えてうずくまってしまった楼に駆け寄ろうとしたみちるだったが、愁がそれを許さなかった。
「俺との約束…
忘れたわけじゃねぇよ な?
こいつに言えよ」
「あっ‥‥」
ギュッと拳を握り俯いたまま少し黙ると、決心した様子で口を開いた――
「…ぼく…楼と行けない ‥‥‥
あの時…ぼくは愁のも のになったんだ
だから‥‥
もう‥ぼくに関わらな いでっ‥‥」
嫌だっ!
本当は楼と離れたくな いっ!!
「みちる‥‥」
「お願いだからっ‥‥」
もうこれ以上‥‥ヒド いこと言いたくないっ
今にも溢れ出しそうな涙をグッとこらえ、楼の傷ついた顔を見ないように目を背けた。
「これでかったろ?
納得できねぇなら…
力で俺から奪ってみろ よ」
嫌な笑みを浮かべ、そう言い放つと、みちるの肩を抱いたまま門の方へ歩き出した。
その愁の後ろ姿を、楼は睨みつけるように見つめた――――……
楼…ごめんねっ‥‥
本当は‥楼の胸の中に 飛び込みたいっ
…でも…
そんなことしたら…愁 は楼のこと‥‥
そんなの絶対に嫌だっ
もう楼が傷つくところ …見たくない‥‥