テキストサイズ

月夜の下で…

第1章 ~ 初恋 ~

 
 
 
「その手‥離せよっ」
 
 
 
気配もなくいつの間にか近くにいた楼は、掴んでいた先輩の腕を掴み上げた。
 
 
 
「いででででっっ!!」
 
 
 楼っ!
 
 
「二度と
 みちるに近づくな!」 
 
 
睨みをきかせながら唸るように言うと、手を離し押し退ける様にみちるに近づいた。
 
 
 
「大丈夫か?」
 
「う‥うん…」
 
「ふ~ん…
 新しいセフレができた から、俺は用済みって わけか
 
 まあ‥俺も楽しませて もらったからいいけど そいつに飽きたら戻っ て来いよ
 またいつでも相手して やる」
 
 
 
悪戯げな口調でそう言うと、満足げにみちると楼の前から去って行った。 
 
 
「セフレって…どういう こと?」
 
「そっそれはっ…」
 
 本当のこと言ったら嫌 われちゃうっ……
 
 
「みちる…教えて?
 …オレのこと…そうい う風に思ってたの?」 
「ちっ違うっ!」
 
 
 
楼の顔を見上げると、悲しげにぼくを見つめていた…
その姿に胸の奥が痛み、ギュッと拳を握り締め意を決して口を開いた―― 
 
 
「…先輩とはそういう関 係だったけど…
 楼のこと…そんな風に 思ってない
 …むしろ…その……」 
 どうしようっ
 ドキドキし過ぎて‥声 が出なくなって……
 
 
 
みちるは全身がカーッと熱くなり、極度の緊張で黙ってしまった。
 
すると…
大きくて暖かな手が頬に触れ、楼の整った顔が近づいてきた――…
 
 
 
 
 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ