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月夜の下で…

第1章 ~ 初恋 ~

 
 
 
「じゃあ
 ぼくはこっちだから… 」
「帰り
 迎えに行くからな!」 
「うん」
 
 
 
上靴に履き替えると、楼と別れ二階にある二年生の教室に向かった。
 
 
 
教室に入ると、クラスの数少ない女子達が何やら騒いでいた。
 
 
 
「一年生でちょーカッコ イイ人いるんだってぇ !」
 
「知ってる~っ
 背高くて鍛えてそうな 体してるらしいよね!
 確か…月野‥楼…
 だったかな?」
 
 
 えっ?
 
 
 
その会話に思わず反応してしまい、耳を傾けながら席に着いた。
 
 
 
 もう楼のことが噂はに なってるんだぁ…
 確かに…
 楼はカッコイイ――… 
 
 
ふと‥楼の笑顔が頭に浮かび、それだけで胸が高鳴った。
 
 
 
 楼は…
 今なにしてるのかな… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その放課後…
入学式と着任式を終えたクラスメイト達が教室を出て行く中、席に座り楼が来るのを待つみちる… 
だけど‥いくら待っても来る気配はなく、時計は12時を過ぎようとしていた。
 
 
 
 楼‥遅いなぁ~…
 なにかあったのかな… ?
 
 
 
心配になりいてもたってもいられず、席を立ち教室を後にした。
 
 
 
「みちる!」
 
 
 
背後から声をかけられ反射的に振り向くと、春休み前に理科室で相手をした先輩の姿があった。
 
 
 
「先輩…」
 
「今日こそは相手‥して くれるよな?」
 
 
 
そう言いながら、慣れた手つきで華奢な肩を抱き寄せた。
 
 
 
「あっ…」
 
「春休み中
 ずっとおあずけくらっ てたからたまってんだ 」
 
「ごめんなさい
 …ぼく…
 もうそういう事はしま せん…」
 
 
 
静かに手を振りほどき、一歩二歩先輩から離れた。
 
 
 
「はあ?
 なにそれ…」
 
 
 
さっきと態度が一転し、いきなり乱暴に腕を掴んだ。
 
 
 
「いたっ…」
 
「先輩の言うことが聞け ないのか?
 性欲処理の分際で」
 
「っ!?」
 
 そんな風に思われてた なんて…
 ただ‥ぼくは―――
 
 
 
心無い一言に、みちるは胸の奥に痛みを感じた… 
 
 
 
 

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