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好きな人がいた

第3章 中学三年生

夏休みが開けた。
彼は再び登校するようになっていた。
クラスが同じではないから頻繁に会うことはなかったけれど、廊下ですれ違うことは多々あった。
その度に私は目を背け、時には友達の後ろに隠れた。
彼の顔を見ることさえ恐怖でしかなかった。
実は何度かメールが来ていた。
『あのときは機嫌が悪かった』
『ごめん』
『仲直りしよう』
そういうメールに怒りはなくなっても恐怖は消えない。
私は彼を無視し続けた。
それなのに何故か彼への愛情は薄れることすらなかった。
彼とCちゃんがメールをしあっていると知ったのは11月頃のことだ。
Cちゃんは少々電波ちゃんなところがあり、「死にたい」と言うと「一番綺麗な自殺方法は凍死だよ、蟻酸を使うとリンゴのほっぺになって死ねるよ」と笑顔で教えてくれるような子だった。
嘘を嘘と見抜くのがとても上手な子だ。私の気持ちもきっとばれていたと思う。

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