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好きな人がいた

第4章 高校一年生

私と彼は同じクラスになった。
音楽授業専攻クラスだ。
彼女とCちゃん、それに友達のほとんどは隣の美術授業専攻クラスだったので私は彼の心配をしている場合ではなくなった。
高校に入ってからも彼は周囲から浮き続けた。
根暗な人間と派手な人間では影響力が大きいのは後者だ。
彼をのけ者にしていたのは後者だった。彼は外進生からもよくわからないままに『かかわり合いになりたくないやつ』というレッテルを張られていた。
私は私で友達作りをするのに必死だった。
嫌われ者の人間と関わっていると周囲にバレたら。
そのことを恐れるあまり私と彼の関係はますますケータイによって成り立つものになっていった。
ひどい人間だという自覚はあった。
でも自分が彼と同じ立場になるのは一番怖いことだった。
見下していたのかもしれない。
彼がいう通り偽善なのかもしれない。
そう思い始めていた。

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