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好きな人がいた

第5章 高校二年生

12月。
私達の学校はヨーロッパの某国に修学旅行に行った。
私の班は私含め5人構成で、Bちゃんもいた。
彼の班は貰い手のいない人の寄せ集めみたいなもので、『扱いが変わってないなあ』と少し悲しかったのをおぼえている。
4日目の自由行動の帰り道に事件は起こった。
私の班の中で一番権力があるDさんが、彼の班を悪く言ったのだ。
彼にいい印象のないBちゃんもそれに乗っかった。
さらには彼は軽い男でCちゃんに気があると言った。
とても信じられないことだった。
彼はBちゃんと付き合っている間とても一途だったから。
できるだけ黙っていたが、私にも話は回ってきた。
今考えれば私も最低だ、でも逆らえなかった。
それに、私はCちゃんに対して嫉妬を覚えてしまった。
もしかして彼と付き合っていたのではないかと。
「そうなんだ、知らなかったよ。先に聞けてよかった。Cちゃんに気を付けるよういっとくね。ほんと信じられない。まあCちゃんはあんな人に引っ掛かるほど馬鹿じゃないと思うけどね」
だいたいこんな感じのことをいったと思う。
そのとき彼の班がちょうど後ろを歩いていたと気づいたのは、そのすぐあとのことだった。

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