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ふたりのうた

第1章 ふたりのうた

いつもは俺の唇を包み込むふっくらとした唇が今は自分の口の中にある。

ヨコほど器用な舌ではないが、不器用は不器用なりに口の中を荒立てる。

そうしながらもベルトを外してズボンのボタンを外す。

意識が分散して舌が止まりそう。止まれば完全に持っていかれる。必死に動かすことに集中した。

顔を離して、目を見つめる。

俺をバカにするように見てくる。

なにも変わっていない。最初から何一つ。

「…なに?」

「…汚していいんか?」

かなりムカつく。ムカつくけど、俺は今からそのムカつきに任せて好きな人を汚す。そう考えると下っ腹まで下りた手が進まなくなった。

「なにゆうてんの?」

「この先いってもうたら、俺はヨコを汚してまう。俺は本気でヨコのこと愛してるから、その白い綺麗な体を汚すんは…」

そこまで言った俺をヨコは曇った目で睨んだ。この顔を俺は知っている。

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