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“好きなところ”

第1章 “好きなところ”

自分の体を支える足が震える。

壁に手をついて耐えるも心が折れるのは時間の問題。

唇を噛んで喉の奥で震える叫び声を必死に殺している。

俺はなんのために、誰のために、この痛みに耐えているのか、この快感に抵抗しているのかわからない。

自分のプライドのために?背中に抱きつき俺を追い込むこの男のために?それとも脳裏を離れず、さっきからずっと助けを求めてるのに来ないあいつのため?

「にし…きど…もう…やめっ…んくっ…」

「…いらん。」

「なん…やねん…はぁあんっ!!」

「…ここなんや。横山君の好きなとこ。」

「うっさい!!離せ!!んあぁ!!」

体内に指を入れられ動かされればその度に足の力が緩んで倒れそうになる。

ズボンの下から押し上げる俺は冷たい壁に身を寄せて自由になれるときを今か今かと待っている。しかし俺のプライドがそれを許すわけがない。

「村上君はここのこと知ってるんかな。」

嫌みったらしく何度もつつく“好きなところ”は体の体温を上げる。暑くなると抵抗意欲も理性も薄くなっていく。

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