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“好きなところ”

第1章 “好きなところ”

「…横山くん…。ひとつ、お願い聞いてもらっていい?」

「…なに?」

「俺に…抜かせて…。今、きついやろ。」

真っ赤に充血した目をこすり、俺に顔の高さを会わせると、小さく呟いた。

壁にもたれ掛かっている俺のほほを撫でる。

「いや。自分でするから大丈夫。」

「俺の責任やから。…それに、このまま外出たら気づかれる…。」

おとなしく正座をして下を向いているどっくんにため息をついた。

「……絶対にひなにばれへんようにしてや。」

「…わかってる。」

力の入らない俺の腰をゆっくりずらして寝転がせる。

服を脱がして天に向かって自立する俺をどっくんはゆっくり、そっと握った。

「はぁ…はぁ…んんっ…あふぁ…」

ひなとはまた違う手さばき、口さばきにすこしづつ落ちていく。

「んくっ…どっ…くぅ…」

口からと俺からの液体が混じって激しく音を鳴らす。

行き場のない手がどっくんの服を強く、強く握った。

「あかっ…いくっ…んぐっ…」

「……飲んでいい?」

「はっ!?…好きに…しろや。」

口の奥深くまで入れ込んで、グッと吸い込む。そのまますべてを持っていかれそうな錯覚に陥りながら、俺は口の中にすべてを吐き出した。

「はぁ…はぁ…」

「…ごめん、大丈夫?」

「…慣れてるから平気や。」

ゆっくりと座り服を着て、額にうっすらとかいた汗を手の甲でぬぐえば、どっくんの悲しげな顔に手を寄せた。

「恋人にはなれへんけど、そばにおることはできる。寂しくなったらいつでもきいや。」

「…ありがとう。」

倒れるように俺の肩に顔を乗せるどっくんの背中を、いつまでもいつまでも撫でていた。

俺の名前は横山裕。俺には俺を愛してくれる錦戸亮がいます。

(ちなみに、ほんまに村上くんは横山くんのすきなところしってんの?)
(…わからん。知ってるかもしれんし知らんかも知れんし…)
(知らんかったら俺だけが知ってる秘密やな~。)
(…悪用されそうで怖いんやけど…。)

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