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第2章 クラゲ
本番前の最終チェック。
間奏が流れ出したら、まず、僕はまるの右隣。フォーメーション移動をして亮ちゃんと前後になる。そのあと、渋やんの後ろ、信ちゃんの隣。で、センターに出てきて横ちょと大倉に挟まれる。
そしてCメロはセンターで僕のソロ。
そこまでが一連の流れ。
ここまでのややこしいフォーメーションと、簡単だけどステップの多いダンスをちゃんと決めて、そして僕のソロに入らないと決まらない。
本番直前まで入念にチェックする。
最後、大倉と横ちょに挟まれて、一回ターンをする。そして、歌にはいる。
足がふらつくのはさっきまで大倉の笑顔が焼き付いていたから。
不安からターンができない僕に本番直前、横ちょが僕に耳打ちした。
「倒れても俺が起こしたるから。何があったかは知らんけど、大倉となかようしいや?」
僕は小さくうなずいた。あえて詳しく聞こうとはしない優しさがさらに嬉しかった。
「それでは本番いきます。」
僕は小さく深呼吸した。今は大倉のことは忘れないと。
曲が始まり躍り進める。
幸い、曲がかっこいい曲調のため、無理に笑ったり可愛くする必要はなかった。
長い間奏が終盤に差し掛かり、僕はセンターに出た。あとから左右を横ちょと大倉が固める。
ステップを踏んで左足を軸にターンする。
半分まで回ったところで重心が右に傾くのがわかった。
右には大倉がうつむいてポーズを決めている。
左を確認する余裕なんて僕にはない。
危ないっ!?
