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背徳の雨

第2章 コワレタ、モノ



体育館。
授業が終わり、
皆友達と楽しそうに話して
はしゃぐ姿を横目に独りで教室へ帰る。
何も考えていない。
頭が真っ白で体育館の階段が
酷く遠く見えた。
階段をゆっくり一段一段降りていると
突然誰かが私の肩を掴んだ。
頭が真っ白な私は視界が遠くなる中
ゆっくりと振り返った。
女の子がいる。
彼女は笑っていた。

「ひとり?」

彼女は私に話しかけた。

「…うん」

言葉に詰まりながら返事を返すと
私の腕を掴んで強引に引っ張り

「一緒にかえろ!」

無邪気な笑顔が憎かった。
日陰を歩く私は
日向を歩く彼女が羨ましかった。

「君は愛ちゃん?って言うの?」

名札に“中井 愛”と書いていた。
愛はにこにこ笑って頷くと
愛でいいよと答えた。

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