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背徳の雨

第4章 歪んだ愛





あれから雫とも虎太郎とも会っていない。
何の音沙汰もなくて清々していたのに。

──トントン──

私の肩を叩く誰か。
振り返れば虎太郎がいた。

「虎太…」

久しぶり、と言おうとしたが
その顔は険しくて

「雫が来る。逃げて。」

それだけ言うと
彼は私の前から姿を消した。
私は雫に見つかりたくないと、
いきつけのネットカフェの下にある、
公衆トイレの前へ逃げ、息を潜めていた。

だが

「…っ?!」

後ろから私の腕を引っ張る誰か。
顔を見ると雫だった。
雫の顔を見た瞬間
私の目から涙が溢れて

「俺のラスト、来てくれ」

彼はそれだけ言うと私の前から姿を消し、
もう二度と
私の前に姿を表す事はなかった。

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