テキストサイズ

花火の秘密

第3章 すばるくんとの秘密

すでにちらほら集まりだしたその場所につけば、すっとしゃがみこんだ。

目の前には暗くて良く見えないが様々な形の黒いものが並べられている。

圧倒的に筒型が多い。

しばらく待っていれば人がどんどん集まっていく。

何事かと回りを見回していると急に目の前の中央の装置が燃え上がりだした。

そしてガヤガヤと散りばめられていた声が「わーっ」と1つにまとまった。

「良かったー。思い出して。仕掛け花火楽しみにしとったんですから。」

次々に光を放つ装置を見ているまるちゃんの目が幾度に色を変えて輝く。

無邪気なまるちゃんの笑顔が光と共に強く焼き付いた。

それはすばるくんも同じようだった。

「むっちゃ綺麗や。」

微かに聞こえてきた声はすばるくんのような気がする。

ただ聞き流せばいいのだが、俺はそれができなかった。

「ほんまやな。むっちゃきれいで…俺……好き…やな。」

まるちゃんの横顔をガッツリ見たまま呟いて見せた。するとまるちゃんの向こうに隠れていたすばるくんがひょっこり顔を出して俺を睨んむ。

そんなすばるくんを無視して何気ない顔で花火に目をやる。

こんなに清々しい夏祭りは今までにない。

しかしそれはほんのわずかな時間だった。

「…せやな。俺も好きやな。」

パラパラと沸き起こる歓声の中からわざわざその間を縫うように俺のもとに声は届いた。

無視したくてもすばるくんの暑苦しい視線が気になって仕方がない。

思わず横を見ればやってやった感満載の笑顔で見られていた。

まるちゃんを挟んでの冷戦状態。にも関わらずまるちゃんはずっと目の前の光に釘付けで見向きもしない。

「多分…俺のほうが好きなんちゃうかな?」

今度はまるちゃんにではなくはっきりとすばるくんに向かって言ってやった。

「そんなん、俺のほうが好きに決まってるやん。」

勿論すばるくんも俺に向かって少し強い口調で反抗してくる。

間にまるちゃんがいてくれればそれだけでなにも怖くない。例えすばるくんじゃなくて巨大ハリセンを持った村上くんですらなにも恐れない。

俺が再び言いかえそうと口を開いたとたん、大きな爆発音が響いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ