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花火の秘密

第3章 すばるくんとの秘密

とっさに身を小さくしてそばにあったまるちゃんの腕をつかんだ。

人々の歓声が一気に大きくなる。

恐る恐るまるちゃんを見ればカラフルな光に照らされた笑顔があった。

そして上を向く目線の先に大きな花火。

「僕はこの花火のほうが綺麗で好きやけどな。」

俺らを包むように空から降る光の滴がその言葉の意味を強く教えた。

「僕ね、両手に花を持ってるようでむっちゃ幸せなんですよ?ずっとこうしてそばにいたいんですけどね。」

フワッとこぼれた笑顔に俺もすばるくんもなにも言えなかった。

まるちゃんの少し太くてしっかりと揺るぐことのない腕に身を預けて三人で舞い上がる花火を見つめ続けた。

静かに見ていればまるちゃんとの思い出がフラッシュバックしてくる。

もう会えなくなるわけでもないのに鼻の頭がつーんっと痛くなる。

花火が滲まないように強くまるちゃんの腕を抱き締めた。

きっとこれからも相変わらずバカなことを俺に言ってくる、すばるくんに仕掛けてくるまるちゃんだから。今だけは甘えさせてほしい。この花火が消えるまで。

夜空を華麗に彩る花火もあっという間に静けさを取り戻した。

人々がみるみるうちに減っていく。

「四人、もう来てますかね?」

「とりあえず邪魔にならんところで待っとこ。人少ななったら見つかるやろ。」

腕に残る温もりを抱き締めながら広場の端に避けた。

すばるくんの目をみると若干輝いている。

以外に小さな体に似合ってかわいい。

「次夏祭りいくときはみんな一緒に行動しましょう?7人で。」

「また時間合わせるん大変やで?できんの?」

「できるできる!NO PROGRAM!!」

やっぱりいつものごとく口を大きく開けて気合いのはいった顔を見せる。そしてやっぱりまるちゃんの優しさに俺は、はいはい。と簡単にあしらっていた。

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