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花火の秘密

第1章 花火の秘密


「なんやろう?」

「多分いいのを持ってきてくれるよ。」

ここに飾ってあるのでも十分やのに。そんなことを思いながらひとつの男物の浴衣に手を伸ばしたとき、後ろから「待った!!」と声がした。

「それは男物。あんたにはこんなんが似合うんちゃう?」

見せてくれたのはピンク色の浴衣と黄色い浴衣。ハンガーにかけて見せてくれたのだが、どう見ても女性用。

「えっと、これは…」

「章ちゃん、ええやんかこれ。」

「え?章ちゃん?」

いきなりそんな呼ばれかたしたら拍子抜けしてしまう。

「いや、良くないよ。だって…」

「そう?黄色いのなんか明るい感じでええんちゃう?」

「嘘や…。」

有無を言わせない亮ちゃんの説得に押されっぱなし。しかもおばあちゃんは僕が男と気づいてないため、亮ちゃんの後押しをする。

極めつけにおごると言われてしまい、一晩女性ものの浴衣を着させられるはめになった。

「出ておいで。」

おばあちゃんの声で渋々更衣室のカーテンを開けた。

短パンとTシャツの上から着付けされた真新しい浴衣は見事に僕のサイズに当てはまってしまった。

「めっちゃかわいいやんか!!」

「あ、ありがとう。」

これで誉められても嬉しくもなんともない。これで外を出歩くなんて耐えられへん…。

簡単に会計を済まされてしまうと、また手を繋いで店の外へ出た。

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