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花火の秘密

第1章 花火の秘密

カラコロと広場に向かっている途中、急に視界がぐらつき、そのまま地面に手を着いた。

手の痛みと同時に足首に強い痛みを感じて顔が歪んだ。

「大丈夫?足くじいてない?」

「…くじいた。」

痛む左の足首を押さえながらも心配させないように笑顔を見せる。

「花火、こっからでも見えんことはないから、ここ座るか?」

仮設のベンチまで肩を貸してくれた。安定感のある、でも細くてしなやかな肩。ふと見ればうなじが視界に入る。白くて、とてもきれいだった。

人が二人座ると少し狭いベンチに、体を寄せあって座る。

遠くで人がにぎわう声が小さくきこえた。

しばらくして一筋の光が天に昇る。それは光る龍のようにまっすぐに伸びて、暗闇に消える。次には大きな花が咲いて、歓声が聞こえた。

「きれいやな…。」

「うん。すごく。」

言葉はなくともお互いに見入ってることは感じ取れた。

もうすぐ夏が終わる。

この花火のように、きれいで、儚い夏が。

「なあ、ヤス。こっち向いて。」

「なに?」

振り向いた瞬間、握られていた手が頭に回り、唇に柔らかく、温かい温もりを感じた。

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