花火の秘密
第1章 花火の秘密
後ろで大きな花火が見ている。
僕らはゆっくりと目を閉じた。
儚い夏が終わっても、僕らの恋が終わらないように。
花火のように散っていかないように。
最後の大きな花火が消える頃、僕らはベンチを立って、ゆっくりと歩きだした。
この恋は僕ら二人と、花火の秘密。
「亮ちゃん。……今日の亮ちゃん、ステキやで。」
「…今更遅いわ。」
「照れ隠しやな?」
「肩貸さへんで。」
「ごめんごめん!!」
人が帰路について、静まった広場の中央で、みんなは笑顔で迎えてくれた。
「はい。二人の分のリンゴ飴。」
「え?なんで?」
「ひなが往生際が悪くて、七戦、六敗。」
「七回もしたん!?」
「そう。で、俺以外のリンゴ飴はひなのおごり。」
下を向いて撃沈している信ちゃんに一礼して、ありがたくゴチになった。
僕の名前は安田章大。僕の側には少し面倒で、ずるい錦戸亮がいます。
(あれ?章ちゃん。なんで女もんの浴衣きてんの?)
(え?こ、これにはふかーい訳がございまして…。)
(あ、そんな趣味が…!!)
(ないわ!!これは…ちゃうねん、もう!やっぱあかんかったやんか!!)
(ええやん。かわいいから。)
(あかん!今すぐ着替えるー!!)