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caramel

第1章 欺

―――4月。

満開の桜が咲き誇る季節。

‥自信満々の桜よりも
恥じらいを身に纏った女の方が
格段に魅力的だろうに


そんな事を思いつつ、
幸也(ユキヤ)は愛車を降り、鍵をかける。


男としては少し長めの明るい茶髪。

大人を漂わせるのは何よりシャツから覗く鎖骨、耳で地味に主張するシルバーのピアス。

見詰められたら虜になってしまいそうな程美しい、茶味がかった切れ長の瞳。


まさしく容姿端麗なそのすらっとした姿。

心を奪われた女生徒達の声が彼の後ろでざわつき始める。


「ちょっ…あの先生、誰?誰なの?」
「かっこいい…!!」
「どの学年の先生かな~?」


‥安心しろ
俺はどの学年でもない


今日は着任式だからスーツなだけで、
実際明日からは白衣姿だ。


職員用玄関から校内に入る。

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