切ない関係
第12章 時計。
「相葉くん、ちょっといい?」
「……うん」
次の日、家から貝殻を持ってきて雅紀を呼び出した。
「どうしたの?」
「えっと…間違ってたら、悪いんだけど…これ、覚えてる?」
大事に箱の中に閉まってあった貝殻を取り出して雅紀に見せた。
「それ……!」
見せた瞬間に、雅紀の表情が大きく変わった。
「やっぱり…潤、だったんだね」
あの時と同じ"潤"と呼び捨てした後、ポケットの中から取り出して見せてくれた。
そこには俺と同じ貝殻、同じ日付、雅紀の名前が彫ってあった。
「ははっ…こんな事あるんだね」
「雅紀の名前を聞いた時から、そうじゃないかって考えてた。」
「僕も考えてたよ、名前聞いたときから。」
「まさか、本当に出会えるなんて思ってなかったから…ビックリした。」
「そう言えばさ、雅紀はいつも持ち歩いてるの?それ。」
「今日、潤に聞こうと思ってたから…この事。そしたら…先に潤に言われてって感じかな。」
「そっか…本当、運命だよね……」
今こうして、雅紀と付き合っているのもこの出来事があったから。