切ない関係
第7章 溺愛。
「ここでいいです。」
料金を払って、再び手を掴み部屋に急いだ。
バタンッ
「……ねぇ、どうしたの?なんか変だよ…。」
玄関で話を進める。
「雅紀さ、何でアイツに触らせてんの?何で赤くなってんの?」
「ちょっと待ってよ…なんで怒ってんのか分からないよ…」
「分からない?」
なんで伝わらない?
「そうだよな、分からないよな…雅紀には」
「それどういう意味?」
雅紀の声が低くなる。
「人の気も知らないでさ、俺がどんな気持ちでこの一週間いたか考えた事もないだろ!」
こんな事、言いたい訳じゃない。
ただ…分かって欲しくて、
「何それ…翔ちゃんに何でもかんでも言わなきゃいけない?俺にだって、付き合いぐらいあるよ!」
それは、いつも心の中で言い聞かせてた言葉。
ドアノブを掴んで出て行こうとする雅紀。
行くな…行かないでくれ
とっさに後ろから抱きしめた。
「行くなよ、ごめん…、ごめんな。本当に」
震えている俺の手を包み込むように重ねてきた。
「もう、分かったから。大丈夫だよ…俺も言い過ぎた。ごめんね?」
雅紀の手が、声が俺を安心させる。
でも…今日みたいな不安はこれからも付きまとう。
怖いよ、雅紀。