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絡まる意味

第2章 絆奏

「なんの用や?」

あんまりにも晴れた日はダルさを感じる。

「…別にないけど…」

こいつのこんな様子見てたらなおさらや。

「用ないんやったら帰れ。お前も暇ちゃうやろ?」

「…暇になってん」

おぼろげな瞳がぼんやりと目玉に浮いてるだけでそこに表情が見当たらなかった。

「…入れや。うっとうしいな。」

音もなく奥へと歩いていくものだから魂をどこかに忘れたのか?と聞きたくなった。

「…なんやねん。きしょいな。」

「…やっぱり。」

おかしい。相変わらず我が物顔でソファーに座っているくせに、まるで別人のような返事。

「……どないしてん。さすがに俺も対処に困るわ。そんなんされたら。」

飲み物さえ出さない普段通りではいけないような気がして冷蔵庫に向かった。

しかし俺の手が冷蔵庫に触れる前に、俺はすべての動きを止めた。

「…ひなと…別れた?」

どこから聞こえたともわからない重たい声が俺の耳をすり抜けてヨコへと流れていった。

「…これ以上、ひなに迷惑かけられへんと…思ったから…。パパラッチが俺を狙ってる。」

ヨコなりの理由。それは確かに正当ではあった。ただ、俺はそれを認めへん。そんなんで別れたんじゃ俺の今までの日々は?これからの俺はどうすればええねん。


「なんでやねん!!アホか!!俺はっ…!!」

急に喉が固くなり行きが通らなくなる。

この先をヨコの顔を見て言える自信がなかった。

「…ひなも同じ反応してた。なんでやねん!!アホか!!俺はそんなんどうでもええねん!!……はっきり言われた。どうでもいい訳ないやん?…大体、こうなったら俺とひなだけの問題じゃなくなるし…。」

正直、ヨコはいつまでもガキのままやと思っとった。下ネタが好きで、中学生みたいにアホなことばっか言うて、食い物でどこまでも幸せになれるガキやと思っとった。

そこが好きやった。

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