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絡まる意味

第2章 絆奏

「…なんで俺ん家に来たんや。」

「…すばるに慰めてほしくて…」

「ほなよそ行き。」

ヨコはなんもわかってない。俺が慰める?馬鹿馬鹿しい。なんで俺のこと好きでもないやつを慰めたらなあかんねん。誰と誰がくっついて別れようが俺の知ったことやない。どうせ俺の気持ちにヨコが気づくことはないんやから。

「…すばる…」

「俺はそんな優しない。ヤスにでも言うてもろうたらええやんけ。あいつやったら嫌っちゅうほど慰めてくれるわ。俺は……俺は、お前みたいなんが嫌いなんじゃ!」


どうせなら価値ある絆を持て

それ以上でも以下でもないもの

なぁ、ほんまにそうなんか?

俺は「それ以上」にはなられへんのか?


「…すばる…俺、どうすれべええの?俺はどうしたら…」

「知らん!それはこっちの台詞や!……ぐじゅぐじゅの腐ったくだもんみたいなお前を前にして俺はなにをしろゆうねん!!うっとうしいんじゃ!別れたんやったら別れたでええやんけ!ナンパでも女遊びでも行けや!!」

息を切らして叫んだあと、俺の足元に滴が落ちていくのが見えた。

どうせナンパも女遊びも行けないのを俺はわかってしまってることが辛かった。

「……わかったんやったら…出ていけ。」

ただ叫んだだけなのに立つのが辛いぐらいに体力を消耗していた。

冷蔵庫に手を突いて、ヨコがうつむくのを見て見ぬふりした。

「…ごめん。邪魔したな。」

ソファーからゆっくりと立ち上がる姿が目の端で滲む。

何度転んでも 何度泣いても

いつもそっと そばにいた

そのヨコが離れていく。

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