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白雪姫

第2章 魔女になった瞬間

「…いい方法がある。」

「ほんまに?」

「思い付いた。白雪姫の…絵本、持ってるか?」

俺は思い付いた作戦を全て伝えた。

そして最後に、しっかりと目を見て伝えた。

「もしキスしてもらえたら、お前の気持ち、はっきりと伝えろ。」

「え?でも…」

「大丈夫や。まさか本気なんて思わへん。ゆうたほうがスッキリするやろ?ふざけた雰囲気のまま、さらっといっちゃえば、亮も迷惑にはならへん。」

「…そっか…。そうやな。わかった。ありがとう、渋やん!!僕頑張るから!!」

張り切る姿に自分で言った作戦なのに、胸がギシギシと痛む。

それを押し殺して笑顔を見せると、まるは慌てて店を飛び出していった。あとはよろしく!と光る笑顔を残して。

一人になった四人分の席で、俺は決心した。

これからは魔女として生きていく

まるにも、俺にも魔女の本性を隠して生きていく

ただのメンバーという老婆の姿をして生きていく


俺はビールをグッと飲み干して席を立った。

外に出れば陽気でご機嫌な老婆。

魔女の体にそう言い聞かせて、ゆっくりと扉を開いて、俺は白雪姫が待つ森へと向かって歩き出した。
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