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理想と偽装の向こう側

第22章 約束

「ん…んん…。」



しまった!
起こしちゃったかな!



小田切さんの眼が、少し開く。



「お…はよう。起きちゃった?」



「………。」



無言のまま、小田切さんは虚ろな眼をして、私をジッと見る。



寝惚けてるのかな?



「志信…起き…あっ。」



小田切さんは私の頭を引き寄せ、下唇を軽く咥える様に二回キスをし



「…志信…あれ?」



コテンと枕に埋もれて、スヤスヤとまた寝息をたて始めた。



「…な、なんだろ?」



思えば同棲してから、どんな時も小田切さんは私より先に起きて、夜は後に寝てたんだよね。



きっと、安心させたかったのかな?



それとも自分が、安心だったのかな?



「あっ…そうだ…。」



私は小田切さんを起こさない様に、ベッドから抜け出した。

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