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理想と偽装の向こう側

第7章 利用と束縛

婚約してたこと。



一目惚れだったこと。



それも然る事ながら、ワイングラスを柄をクルクル回し、微笑みながら遠くを見つめ、元カノを語る小田切さんの表情が、愛しいさと切なさで溢れている。



あぁ…小田切さんの恋は、終わってないんだ…。



そんなに愛しい彼女は、なんで小田切さんに、会わなくなったんだろう。



『会ってもらえなくなった』
『置き手紙』



…なんか、深い訳があったんだろうか。



凄い気になる…。
でも、今時点これ以上踏み込む勇気はない…。




「元気にしてると、いいですね…。」



言葉が思い浮かばず、社交辞令みたいだ。



「……香織ん…。」



「はい?」 



「今夜は…寝かさない…。」



「えっ!!」



な、なに事ですか!?




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