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理想と偽装の向こう側

第9章 衝動と不安

「嘉之さん!月が綺麗ですよ!ほら、満月です!」



むちゃなフリだったかも…けど



「あぁ…綺麗だな。」



よっし!進展したぞ!



「どこからでも同じモノが見えるって、素敵ですよね?」
「どうゆうこと?」



「なんか…離れてても同じもの見れてたら、心は繋がってそうな気がして。月だけじゃなくて…理想や夢も。身体は違えど、同じ夢描けたら、心は繋がっていられるのかもって…。」



嘉之は黙って聞いている。



「嘉之さんが描いてる夢…少しくらい同じ夢描けられたら…いいな…。」



そしたら何よりも、強い絆が出来る気がした。



「…香織…。」
「えっ?」



今、名前…じゃなかった?



振り向くと嘉之は、何か思い詰めたような表情をして、私に近づいた。



「嘉之さ…。」



言葉は、途切れ…唇が重なり…嘉之にキスされていた…。 



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