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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

両社とも初めてに近い企画に、準備段階から念入りに行われていく。



そのため、私自身もしばし帰りが終電になることも、少なくはなかった。



その過程で、アーティスト選考が行われて、嘉之は無事に候補に選ばれ、契約も結べた。



関係もあってか、嘉之は今より広い部屋を探して引っ越しをした。



多忙が重なり、二ヶ月近く会えてない。



最初は、電話も少しできたけど、最近はメールの返信もほとんどない状況だ。



時たま、寂しくなったが、このプロジェクトが成功したら、嘉之の創作環境は断然良くなる。



毎日ヘトヘトになりながらも、それを励みに、私は自分に叱咤激励していった。


二ヶ月半くらい経った頃、久々にメールが届いた。



『香織、今晩会える?』



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