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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

「どうゆう…意味…。」



ハッキリ言葉にして欲しい。



チープな言葉でも構わないから、聞かせて欲しい。


「触って…いい…。」



身体を重ねるだけで、誤魔化されたくない。



「会社だから…。」
「少しだけでいいから…。」



嘉之は思い詰めた目をしていた…この顔…初めてキスした時と同じ表情だな…。



「でも…仕事中…。」
「お願い…。」



くっ…甘える嘉之にクラッとキテしまう…私はやっぱり愚か者だ…。



「少しだけなら…。」



そう言うと嘉之は、嬉しそうに微笑み、手を伸ばし私の頬に触れ、そっと輪郭をなぞる。



その感触に背中になんとも言えない感覚が突き抜け、つい反応してしまう。



「あっ…。」
「香織!」



あっという間に抱き締められていた…。




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