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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

かなり長いこと私たちは、唇を重ねて続けていたと思う。



身体ごと持ってイカれそうな感覚をなんとか、現実に引き戻しながらも




「…はっ…もう…戻る…。」



「あと…少し…んっ…。」
「あっ…。」



どうしよう…やっぱり、嬉しいと感じてしまう。



私は嘉之の服を更にギュッと掴むと、カツカツカツと物凄い勢いで近付くヒールの音が聞こえ、ミーティングルームの前で止まった。



「コンコンコン!」



ドアを強くノックする音がして、こちらの返事も待たずにドアが開かれ、



「ガチャン!」
「須永さん!居ますか!」



ドアが開くと同時に、元木さんがハシャギ気味に入って来た。




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