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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

私は書類を整え、嘉之は何事も無かった様に椅子に腰掛けている。



やっ…ヤバかった…心臓バクバクする~!



チラリと嘉之を見やると目が合い、口元は少し笑っていた。



余裕だな…グロス、付けてなくて良かった…。 



「あっ!渡辺さんお疲れ様です~!須永さん、全然連絡取れないんですもん!個展準備進んでますかぁ~!」



「まあね…。」



「楽しみにしてますぅ~!」



あれ?君、興味ない言ってなかったっけ?



「じゃあ私は、これで…。」



私は場を離れようとしたが、



「須永さん!今日飲みに行きませんか?」



えっ!ここで、誘うの!
直ぐ様、嘉之の方を見ると



「いいよ。何時に何処?」
「やった~!じゃあ、後でメールしますね。」



「分かった。まだ打ち合わせしてるから、また後でね!」



「は~い!!渡辺さん、お邪魔しました~!」



ハートマークいっぱい飛ばしながら、元木さんは出ていった。



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