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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

愕然とした…。



一瞬で、奈落に落とされた感覚だ…。



嘉之は、呆然としている私の手を取り、



「端的に片してくるからさ…家で待ってて。」



そう言い、マンションの鍵を握らされた。



えっ…そんな…。



「か…片してって、そんな簡単に言うけど…。」



「大丈夫。香織は待っててくれてればいいから。」



不敵に笑いながら、私の額にキスを落とした。



******

「グィーン…。」



マンションのオートロックを開け、エレベーターに乗り、嘉之の部屋に上がる。


「ガチャ。」



鍵を回し、ドアを開け中に入る。



「た、だいま…。」



何気にそんなことを呟いてみたりした。



手を洗い、スーパーで少し買ってきた物を冷蔵庫に入れ、簡単なモノを作り始める。



正直、複雑だな…。 



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