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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

嘉之の独占欲…。
自分の自尊心…。



これから先の私たちの関係…。



身体に黒いヘドロが渦巻いていくようだ。



「はぁ…しんどい…。」



「まぁ…手加減しなかったらな…。キツい?」



嘉之の声が降ってきた。
いつの間に戻って…



「あっ…嘉…之…。」



身体を起こそうにも起こせないでいると、嘉之はベッドの端に腰掛け、私の頭を撫でながら



「俺は、まだやり足りないけどね。」



ゾクッと、また恐怖感で支配される。



…勘弁して。



私の様子を察したのか



「くっくっ!なんてな!流石に疲れたよ。4時か…まあ、明日は休みだし、昼間近くまで寝ててもいいよな。」



ミシッとベッドが軋む音がすると同時に、背中に嘉之が重なってうつ伏せの私の顔に寄せる様に頭を近づけ



「俺のことだけで、いっぱいになった?」
「くっ…。」



他を寄せ付けることを許さない、絶対的な支配力…。



あんだけとことん、攻められたら、最後は考えてる余裕どころか、余地さえない。



「わ…私は…いつだって…嘉之のことしか、考えてないよ…。」



その言葉にクスリと笑い



「ホントかよ…。」



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