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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

ドキッとした…。



嘉之は、なにか直感的に私の疑心を嗅ぎつけているのかもしれない。



でも…嫌いになった訳でない…。



私はただ、ちゃんと向き合いたいだけなのに…。



「ホント…だよ…。」
「ふ~ん…。」



「だから……信じて…。」



本当は、『信じさせて』と言いたかったけど、それは私の我が儘なのかもしれない。



それでも言えないのは、期待を裏切られたくないから。



「分かった…。」



嘉之は静かにそう言ったけど、きっと私が求めてるモノはもらえないと思いながら、深い闇にフェイドアウトしていった。




******

結局、土曜日も一日中嘉之に縛られたままで、同じ様に繰り返されて、やっと解放されたのは、日曜日の夕方だった。 



私は心身ともにボロボロで、なんとか自分の家に帰り着き、そのまま倒れ込み眠ってしまった…。



今は、もう何も考えたくなかった…。



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