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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

半年前

プロジェクトも終盤になり、メインは宣伝に移っていった。



アーティストの二人も、インテリアやデザイン雑誌などメディアに出ることも増えて、少しずつだけど確実に名前を知られていっていた。



それに伴い、お互いまた忙しくなり、頻繁には会えなかったが、逆その方が必要以上の詮索がなくなり気持ち的に楽になった。



メールは私は毎日送るが、嘉之は相変わらず必要な時しか送ってこない。



時たま会うときは、嘉之の話を聞いて抱き合うのは、お決まりのパターンだった。



また、一年前みたいなことには成らないよう、細心の注意を払い続けてはいたけど…。



元木さんは、嘉之のお兄さんと交際は順調なようで、たまに会っても仕事の話しくらいで、嘉之の名前は自然と出なかった。



何となく穏やかに過ぎていってると思った。



後は、プロジェクトが無事に終わることを祈るだけ…。



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