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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

その翌日…クラッシャー元木柚有葉が現れた…。



「渡辺さ~ん!お疲れ様です~。」



「元木さん、お疲れ様!」



昼休みに、デザイン雑誌をチェックしていた私に、元木さんは手に紙袋を提げて近付いてきた。



「渡辺さん。これお土産なんで、良かったら樋口さんたちと食べて下さい~!」



「ありがとう!どこか行ってたの?結構重いけど、これ。」



「はいっ!彼の実家の新潟に行って来ましたぁ~!笹団子だから重かったです~。」



サラッと元木さんは、言ってのけた。



えっ…実家の…新潟?



その瞬間、ガツンッ!と頭を殴られた気がした。



「そ、そうなんだ…彼氏さん…出身…新潟だったんだ。」



「あれ~須永さんのインタビューに出身載せてましたよ~。」



そりゃ、知ってるよ…。



「婚約したんでぇ~ご両親にご挨拶しに行ったんですぅ~。」



本当に婚約したんだ…。



「おめでとう…。」



「彼と~須永さんと三人で、東京駅から一緒に行ったんですよ~。」



「えっ!三人で?」



「はい~!須永さんとか実家に戻るの久々だったから、彼が一緒にって~楽しかったですよ。兄弟仲良しだから~きゃは!」



次々と、私の知らない嘉之の話を元木さんは、繰り出した。




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