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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

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一週間経った頃、
意を決してメールしてみた。



『お疲れ様。もうこっちに戻ってる?帰ってたら、少しだけでも会いたいです。』



送信…。



嘉之が、何かしようとしているなら協力したいと思ってはいる。



やはり頑張ってもらいたい。



惚れた弱味を抜きにしても、ずっと苦労して頑張ってきた嘉之を見てたから…。



道を開こうとしているなら、私も出来る限りのことをしたいと思った。



だから…少しでもいいから、勇気と確信が欲しかったのだ…元木さんのことも含めて向き合いたかった。



お互い、今しかないと思ったから…。



けど…ようやく返ってきた返信は、



『まだ、実家。』



の一言だった。



あれ?実家で制作するのかな?
トータル的に、こっちで制作する方が描き易いはずなのに…。



『分かった!帰ったら教えてね!身体に気を付けてね。』



『了解。』



そのレスが返って来てから一ヶ月くらい、メールは来なくなった…。


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