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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

それからは、私も嘉之の方を一切見なくなった。



そして、今日は一回も接点がないまま、一日が終わった。



関係者の方をお辞儀しながら見送り、嘉之が通るときは長く頭を下げて目を合わせない様にした。



変な期待をしたくなかった。



最後の確認を企画室で行い、今日は解散になった。



「渡辺さん、本当にご苦労様!この功績は宝物になるわよ!」



「はい!色々勉強になりました!」



井関さんが労ってくれ、私は会社を後にした。



iPodで洋楽を聴きながら、何も考えないようにする。



最寄り駅に着き、簡単に買い物をしてアパートに帰り着く。



普段と変わらない、日常だ…。




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