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理想と偽装の向こう側

第12章 板ばさみ

「ん…ふっ…ん…。」



嘉之の舌が、時折ゆっくり激しくと私の口と舌を翻弄して、頭の芯がうっとりしてくる。 


「はっ…やっ…。」



微かな隙間から、止めてと訴えようとしたが、熟知してる嘉之には、無駄な抵抗だった。 



キスだけで、身体が嘉之のゆうことを利き始めるのを感じ、このままだとまた引き戻されるてしまう…胸の奥でズキンズキンと抵抗して、切なくて泣けてくる。



「あっ…。」
「香織…そんな声出して、泣きそうな顔してんと、止まらなくなるよ…。」



クスリッと笑って、耳元で囁く。



「やっ…!」
「分かってる…。」



そう言って嘉之は私の首元に顔を埋めてきた。



「なっ!なにっ?」



一瞬だけ痛みが走る…。
小さくうっすらと、桜色の痣が付いた。



前回よりは薄く、直ぐに消えそうだったが、場所が悪い。



「ちょっと…!」



嘉之はニヤリと笑って、



「害虫駆除…。」



と一言…言った。



「害虫…!な、なにそれ!」



「変なムシ寄せ付けんなよ。」



嘉之は、そういい放つと、ようやく私は解放された。



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