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理想と偽装の向こう側

第15章 発動

「ごめんなさい…いつも心配かけて…。」



本当に…ごめんなさい…。



もしかすると、同棲は終わってしまう。
小田切さんは、いつも私を気遣って、癒してくれてたのに…。
最低な形で裏切るかもしれない。



私がしょげてると、



「香織ん…ごめん…。知り合いに、胃の病気の人がいたからさ…。思い出して気になったんだよ。」



そして、机越しにポンポンと頭を撫でてくれながら、



「注文しよっか!さっきから、店員さんの視線を感じるし。」



笑いながら小田切さんは、そう言ってお品書きを渡してくれた。



チラリと、見ると確かに店員さんが、ソワソワしてた。



ごめんなさい…店員さん…。



「俺は~肉うどんにしぃようっと!香織んは?」



油っこいものは避けたいな…



「かけうどん…。」



「…かけね…。すみませ~ん!かけと肉お願いします!」 



ニッコリと小田切スマイルに、店員さんはイキイキと近付いてきた。



そんなやり取りを眺めながら、内心気が気じゃない…。



はぁ…とにかくバレませんように…。



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