テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

金曜日

流石に今日は、意を決して一人で病院を訪ねた。



得意先に何ヵ所か回って来たので、それに便乗して病院に足を向けた。



水越光花は、明日休み…。
俺も土日休みだから、明日に繋げるきっかけが欲しかった。



駐車場から、小児病棟の方に回る…最初に会った時間帯で来てみたが、今日も子供たちと遊んでいるとは、限らない。



「クス…。」



一人で笑ってしまう、どうしたんだろうか、俺らしくなく必死だな。



今まで、割りと難なくこなしてしまっていたので、こんなに必死になったのは、学生時代の部活の大会以来かも…。



いや…自分だけのことで、こんなに必死になった事は、初めてな気がしてきた。



そんな自分自身の変化に、衝撃と期待が湧いてくる。



水越光花が、確実に俺を動かし始めていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ