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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

目的の場所に近づくにつれて、子供たちのはしゃぐ声が聞こえて来る。



ドキンッ…俺の心臓が、高鳴る。



ドキンッ…確信と緊張が入り混じる。



「きゃ~!翔くんそっちいったよ!」



ドキンッ!!
彼女の声がした。



「ヒナちゃん、ノーコ~ン!」



「そうだ!そうだ!」



「え~!ちゃんと投げてるもん!」



子供たちの輪の中に、水越光花の存在を確認した。



「クス…。」



今日もナース服のまま、子供たちと同レベルで、本気ではしゃいでいる姿が微笑ましく、思わず笑ってしまった。



楽しく遊んでるところに、声は掛けにくいな…そう思ってたら、またボールが飛んで来たので、思わずキャッチしてしまう。



「あ~真人くんノーコン!」



いやいや…ナイスコントロールだよ。



「お兄ちゃんありがとう!」



あっ、気付くかな?



「ヒナちゃん!こないだのお兄ちゃんじゃない?」



子どもは、物覚え早いな…。



「ホントだぁ~!イケメンさんだ!」



どこで、そんな言葉を習うんだか…。



「小田切さん!」



ドキッ!!



ヤバい…重症かも…。 



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