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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「こんにちは、水越さん。今日も子供たちと遊んでるんだね。」



俺は精一杯、平静さを装う。



「は…い…。」



水越さんは、気まずそうな感じで俯いた。



一昨日のエレベーターのこと誤解…って、誤解されても困るぞ!



「こないだは、驚いたよね。」



「あっ…いえ…。私こそ変に逃げて、すみませんでした。」



そう言って彼女は頭を下げた。



「水越さんは、何も悪くないよ!滝島が悪のりしてきてさ…てか、場所変えられるかな?」



子供たちが少し離れて、みんなでこちらの様子を伺っている。



熱い視線が痛いかった。



「あっ!はい!みんな~もう部屋に戻ってね!」



「ちぇ~!つまんない~!」



あっ拗ねた。



「ダメだよ!邪魔すると馬に蹴られるんだぜ!」



そんな事どこで覚えたんだ?



「マジで!あの人馬飼ってるの~?」



そうなるか!!
思わず、つっこみたくなった。



「ぷっ!!馬は、飼ってないよ。」



「こら~!隆くん、変な事教えないの!」



水越さんが、真っ赤な顔で子供たちに大きな声で言った。


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