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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

水越さんは、対になってたそのウサギのペーパーウェイトを両手に握り、



「これ、買ってきていいですか?」



えっ!買うんだ?



「俺、プレゼントするよ。」



そう言うと、水越さんはプルプル顔を左右に振り



「ありがとうございます!これは、自分で買いますね。」



ニッコリと笑い、レジに向かう。
俺は、他のも眺めながら彼女が戻るのを待っていたが、会計を済ませた後も何やら店員さんと話している。



どうしたのかな?



水越さんの様子を気にしつつ、ふと目の前にキラキラ光る、花をモチーフにしたネックレスが気になった。



「光る花か…。」



水越さんは、まだ店員と話している。



「すみません!これ下さい!」



彼女の様子を伺いつつ、俺はネックレスを包んでもらった。 



店員さんがにこやかに、



「お待たせ致しました!」
「お待たせしました!」



言うのと同時に、水越さんも戻ってきた。



「わっ!」
「あれ?小田切さんも何か買ったんですか?」



セーフ!



「うん!ちょっと気に入ったのがあったから。」



「そうなんですか!良かったですね!」



何も知らず水越さんは、無邪気に微笑んでいた。 



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